東京高等裁判所 昭和28年(け)6号 決定
本件異議申立理由の要旨は、原裁判所は申立人に対し所定の期間内に控訴趣意書を差出さないとの理由で申立人が先にした申立人に対する昭和二七年一〇月一四日宇都宮地方裁判所真岡支部の言渡した恐喝未遂被告事件の控訴を棄却する決定を為したが、申立人は昭和二七年一一月二九日弁護人Oを選任し控訴趣意書提出方を依頼し同弁護人はこれを了承したので申立人は期間内に提出してあるものと思つていたのである。これは右弁護人の責任で申立人の責任でないから、原決定を取り消して更に相当の裁判を求めるため本申立に及ぶというに在る。
よつて按ずるに、申立人に対する昭和二七年(う)第三八九四号恐喝未遂被告事件記録によれば申立人は昭和二七年一〇月一四日宇都宮地方裁判所真岡支部が言渡した判決に控訴を申立たので原裁判所は申立人に対し控訴趣意書を昭和二七年一二月一〇日までに差出すべき旨定めて通知し同通知書は昭和二七年一一月一〇日申立人に送達されたのに弁護人Oから控訴趣意書が提出されたのは昭和二七年一二月二〇日であつて、右差出期間内に控訴趣意書の提出が為されなかつたものであるから、原裁判所は所論のように控訴棄却の決定を為したものであることを認めるに十分である。
所論のように申立人が弁護人Oを選任し同弁護人に趣意書の提出方を依頼し、同弁護人はこれを了承引受けた以上同弁護人が期間を懈怠すればそれは同弁護人の責任ではあつてもなおその効果は申立人にも及ぶのであつて、差出期間内に趣意書の提出のなかつたことをもつて申立人の責に帰すべからざる理由のある場合には該当しない。原決定は正当のものであつて本件異議申立は結局理由のないものである。